遺留分

遺留分をより多く貰いたい!不動産の評価額を上げて請求額を増やす方法

「遺留分として受け取れる遺産があまりにも少ないと感じる。どうにかしてより多くの遺留分を受け取る方法はないだろうか。」

遺留分は通常法定相続分の半分ですから、認められた遺留分の額を知ってこう考える人が多いのは、事実です。できるだけ多くの遺産を受け取りたいと考えるのは自然なことです。

今回の記事では、不動産の評価額を上げてあなたに認められた遺留分請求額を増やす方法をお伝えします。

不動産の評価額を上げて遺留分請求額を増やす

遺留分は、

【遺留分算定の基礎となる財産】×【遺留分権利者に認められた遺留分割合】

という計算式により算定されます。

そして、遺留分算定の基礎となる財産は、

【亡くなった方の死亡時に有していたプラスの財産】+【贈与財産(生前贈与・遺贈等)の価額】-【亡くなった方の死亡時に有していたマイナスの財産(負債)】

という計算式により算定されます。

つまり、プラスの財産、および贈与財産の価額を増やす、もしくはマイナスの財産を減らす、そうすることで遺留分算定の基礎となる財産の額は増えます。あなたが受け取ることのできる遺留分が増えるということです。

では、遺留分算定基礎となる財産を増やすのに最も効率的な方法は何でしょうか。それは、プラスの財産もしくは贈与財産の中に含まれる不動産の評価額を上げるという方法です。

プラスの財産や贈与財産のうち、預貯金のような価値がほとんど変動しないものに関して、価値の大きさを巡ってもあまり意味はありません。

その一方で、不動産は価値が変動しやすく、かつ評価方法が一律で決まっていません。そのため、不動産の価値を高く評価することもできれば安く評価することもできます。不動産の価値を巡ることは、場合によって遺留分算定の基礎となる財産の算定に大きく関わってくるということです。

ここからは、不動産の評価額が上がる理由と上げるためにあなたが行うべきことについてお伝えします。

 

不動産の評価方法は主に3種類ある

まず、相続において主な土地の評価方法が4つあるので紹介します。

① 固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、その不動産に対しての固定資産税を決めるための基準となる評価額です。のちに紹介する、時価による評価の7割程度となっています。

② 路線価

路線価とは、相続税および贈与税の算定基準となる評価額です。のちに紹介する、時価による評価の8割程度となっています。

③ 公示地価

公示地価とは、定期的にその地点における土地の価格を国が評価して発表している評価額です。毎年発表されているもので下記の時価に近いですが、全ての土地を評価しているわけではなく、土地の価格が大きく変動している場合は時価とは誤差が出てしまいます。

④ 時価

時価とは、不特定多数の人の間で自由取引が行われる場合に、通常売買が成立すると認められる額です。つまり、「売りに出して実際に売ることのできる額」と表現できるでしょう。不動産市場における相場価格とも言います。

このように、不動産の評価方法は今回取り上げたものだけでも複数あります。さらに、同じ不動産であっても評価方法により、評価額が異なるということがお分かりになったかと思います。

では、遺留分の算定基礎となる財産のうちの不動産の評価をする際には、これらのうちどの方法を用いるのでしょうか。

 

遺留分の不動産は時価による評価方法を用いる

通常、遺留分の算定基礎となる財産の場合、時価による不動産の評価を用いる必要があります。

時価による評価を行えば、固定資産税評価額や路線価による評価よりも、評価額は高くなります。

例えば、固定資産税評価額により評価された不動産が3500万円だったとします。固定資産税評価額を基準とした場合、時価の評価額の7割程度となります。もし、時価の評価で行えば約5000万円ほどになる可能性があるということです。

このように、時価による評価を行うことで、大幅にあなたが請求できる遺留分が増える可能性があります。

 

不動産の評価は固定資産税評価や路線価が一般的だと勘違いされている

お伝えしました通り、通常、時価を用いて不動産の評価額を決めますが、固定資産税評価額や路線価を用いての評価が一般的として誤解されてしまっています

なぜかと言えば、固定資産税評価額は、市町村から毎年固定資産税の請求が来るときに示される役所が定めた金額であり、かつ、一番身近な金額だからです。また、路線価もやはり国が定めた金額で、しかも、相続税の申告の際に使う金額だからです。

「一般的に認識されている評価方法(固定資産税評価額や路線価)によると不動産は安く評価されてしまうが、正しい評価方法(時価)で評価を行えば、不動産の価値は高くなる。」これが不動産の評価額が上がる理由です。

あなたに明かされている遺留分は固定資産税評価額や路線価による不動産の評価をもとに算定されたものではないでしょうか。

あなたが遺留分を請求したいと考えている相手方が、一般的な評価方法として固定資産税評価額もしくは路線価を基準として用いているかもしれません。

もし、時価での評価が正しい評価方法だと知っていたとしたら、なおさら固定資産税評価額や路線価での評価をしたいと考えるはずです。できるだけ評価額を抑えて、遺留分請求額を安くしたいと考えるはずですから。

土地の評価額を、請求の相手方から提示されている場合、時価での評価なのか、それとも固定資産税評価額や路線価による評価なのか、調べてみる必要があります。

 

時価での評価額を知るためには

時価での評価額を知るためには、不動産鑑定士による鑑定をしてもらう必要があります

しかし、交渉段階、あるいは調停や訴訟の前に不動産鑑定士による鑑定を受ける必要はありません。

あなたが自分で費用を払って不動産鑑定士に依頼して鑑定してもらったとしても、その鑑定結果は、あなたの依頼に基づいていることからあなたに有利な金額が出されている可能性があるとして、調停や訴訟の場では公正な鑑定結果として扱われないからです。調停や訴訟になれば、再度裁判所が選任した中立の不動産鑑定士により鑑定してもらうことになってしまい、二重に鑑定費用がかかってしまうことになります。

しかし、中には調停や訴訟の前にどれだけ時価評価により不動産の評価額が上がるのか知りたいという方もいるかと思います。

その際には、不動産業者に査定の依頼をすることをおすすめします多くの不動産業者では売るとしたらいくらになるかという簡易査定を無料でしてくれます。書面にする場合は有料としている不動産業者もいるので、無料かどうかはよく確認してから査定を依頼してください。

無料の簡易査定なので、鑑定とは異なり、絶対的に正しい金額というわけではないので、注意が必要です。

また、ここで、不動産業者選びにおいて気をつけなければならないことがあります。それは、適切な査定をしてくれる不動産業者を選ぶということです。

不動産業者は、もちろん、売却の依頼を受けるために、営業活動の一環として無料で査定をしてくれています。そこで、査定をした後で、自分にその不動産の売却を依頼してもらうために、一般的な時価の額よりも高めに見積もって査定額を出す不動産業者が存在します。このような不動産業者による査定結果は、あまり参考になりません。

そこで、大手の不動産業者や地域に密着した不動産業者査定してもらうことをおすすめします。さらに、2、3社の不動産屋に査定してもらい平均値を出せば、参考にしやすいかと思います。

これらの簡易査定の結果に基づいて、遺留分を計算して請求すればよいこととなります。

 

遺留分減殺請求の場合、相続開始時が評価の基準となる時期

遺留分減殺請求の場合、時価による評価方法で不動産の価値が決定するとお伝えしました。では、いつの時価評価で価値が決定するのでしょうか。

それは、相続開始時、つまり被相続人が亡くなった時点での価値を基準として評価されます

生前贈与や遺贈により相続が発生した不動産に関しても同様です。

贈与を受けた際の不動産の評価額が3000万円だったけれども、亡くなった時には4000万円だったというケースでは、評価額は4000万円として遺留分は計算されます。逆に、亡くなった時には2000万円に下がっていたという場合には、評価額は2000万円として計算されます。

 

時価を基準とした遺留分を請求する方法

時価を基準とした不動産の遺留分減殺請求を行うには、先ほど説明したとおり、複数の不動産業者の簡易査定に基づいて、請求の基準となる金額を決めて、遺留分額を計算して、相手に請求しましょう

相手も自分の知っている不動産業者に査定を依頼して、おおよそ同じくらいの査定金額であれば、話し合いで解決が付く可能性があります。

不動産の評価額について相手方とあなたとの話し合いが付かなければ、遺留分減殺請求調停や遺留分減殺請求訴訟を申し立て、裁判所が選任した中立の不動産鑑定士による鑑定をしてもらいましょう

不動産鑑定士の鑑定結果により、不動産の時価が決まり、あなたの遺留分額が決定され、受け取れることになります。

ただし、不動産鑑定を利用するときは、不動産鑑定士の費用を双方で負担することになるので、注意が必要です。

 

不動産が含まれる遺留分でお困りの方は弁護士に相談しましょう

不動産が含まれる遺留分でお困りの方は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします

それは、遺産の中に不動産が含まれているとなると、分割方法から考えなければならないからです。ただ単に分割の割合を決めるだけでは済みません。

さらに、遺留分減殺請求の手続きや相手方との争いは、法律の素人であるあなたにとっては大変苦労が強いられるものとなります。

遺留分減殺請求調停や訴訟までの流れや費用については、「遺留分減殺請求は大変?方法・かかる期間や費用」で紹介しているのでご確認ください。

弁護士の力を借りることで、楽により早い解決に向かうことでしょう。検討してみてはいかがでしょうか。

「遺留分減殺請求は弁護士に依頼すべき」このように言われている理由は「遺留分減殺請求を弁護士に相談した方が良い”7つ”の理由」を読めばわかります。


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もしあなたが相続のことでお悩みでしたら、ぜひともお問い合わせください。相続に関することであればどんな些細なことでも構いません。悩むあなたのパートナーとして親身に寄り添い解決を目指します。

なお、初回相談料30分5,000円(税別)いただいています。

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〒105-0001

東京都港区虎ノ門1-11-7 第二文成ビル9階

(虎ノ門駅から徒歩4分・霞ヶ関駅から徒歩6分)

03-3539-3339

代表弁護士:高島秀行

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