遺留分

離婚後、疎遠だった父親(母親)の相続に直面したあなたが取るべき行動

今回の記事では、離婚が原因で疎遠となってしまった実の親が亡くなった時にあなたに対して相続上、どのような影響があるのかについてお伝えします。

分かりやすく説明するために、相談事例を用いながら解説をしていきます。

この記事を読めば、あなたが今後取るべき行動についても知ることができます。ぜひとも最後までお読みになってください。

両親の離婚と相続に関するご相談事例

相談内容をもとに、ご紹介していきます。

私の両親は、私が幼い頃に離婚しています。私は母親についていき、実父とは長らく疎遠になっています。

そして先日、「実父が亡くなったから相続放棄してほしい」という連絡が入りました。

その連絡をしてきたのは、実父の再婚相手の子供。

私の母親も再婚し養子縁組しているので、私には血は繋がっていませんが新しい父親もいます。そのため、実父の相続なんて考えたこともなく、どう対応すれば良いのか困っています。

そもそも、長らく疎遠になっているにも関わらず、私は実父の遺産を相続する権利があるのでしょうか

近年、日本の離婚件数は増えているため、このような相談は増えてきています。

同じような立場に置かれている方も多いのではないでしょうか。

ここからは、このご相談事例を用いながら「ご相談者に相続の権利が認められているのか」お答えし、もしあなたが同じような立場である場合に「取るべき行動」をお伝えします。

 

離婚した両親の子供に相続の権利が認められているでしょうか

まずは、離婚した両親の子供が、実父の遺産を相続できるのかについて考えていきます。

離婚した両親の子供には、相続権があります

結論から申しますと、ご相談者は法定相続人に該当し、遺産を相続できます

両親が離婚していようとも、その子供は、父親、母親の実の子供であることに変わりはありません。

そのため、離婚した後でも、子供には相続権があると法律により認められています。これを「法定相続人」と言います。

また、法定相続人かどうかという点において、長らく疎遠であったということも関係ありません。

新たな父親と養子縁組をしていても相続権がなくなることはありません

稀にある勘違いとして、母親の新たな再婚相手と養子縁組をした場合、実父の相続権がなくなるというものがあります。

しかし、それは間違いです。

たとえ再婚相手と養子縁組をしていても、法律上、実の親との親子関係はなくなりませんから、あなたは法定相続人であることに変わりはありません。

そして、実父の遺産を相続したからといって、養子縁組した父親の相続権を失うこともありません。

しかし、元妻・元夫などの元配偶者には相続権はありません

一方で、ご相談者の母親は法定相続人ではありません

遺言書に、この母親に相続させる旨が記されている場合を除いて、元妻だからといって相続することはできません。

これは、離婚によって元妻や元夫といった配偶者は互いに赤の他人となり、法定相続人ではなくなるからです。

 

離婚した実父の遺産を相続放棄するかどうかの判断をしなければならない

離婚した両親の子供であれば、親の遺産に対する相続権があるということをお伝えしました。

では、実父の再婚相手の子供からお願いされた「相続放棄」について考えてみたいと思います。

そもそも「相続放棄」とは

相続放棄とは、一切の遺産を相続せずにすべてを放棄してしまうことです。

つまり、プラスの遺産もマイナスの遺産も一切引き継がないとする手続きのことです。

ここからは、この相続放棄をすべきかどうか判断するためにおこなうべきことについてお伝えします。

確認すべきは、亡くなった実父の遺産に何が含まれているのかということ

ご紹介した通り、離婚した両親の子供には相続権があります。そのため、相続放棄さえしなければ、遺産を受け取ることができます。

しかし、ここで一つ確認しなければならないことがあります。

それは、実父が遺した遺産の中に何が含まれているのかということです。

民法では、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と定められています。

つまり、一旦相続すると、プラスの財産もマイナスの財産も全て承継するということになります。

預貯金や不動産などのプラスの財産が多ければ問題ありませんが、借金などマイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には、相続放棄を選択すべきです。

遺産の中身を確認せず相続することを決めてから、マイナスの財産ばかりであることに気付いては遅すぎます。

しばらく疎遠だったとなると、なおさら実父の遺産の中身は調べる必要があるでしょう。

争いに巻き込まれたくないからという理由で相続放棄することも

相続放棄をする理由は、なにも遺産の中身が負債だらけだったというものだけではありません。

例えば、相続人同士での遺産分割割合を決めるための争いに巻き込まれたくないというのもあります。

特に、今回のように実父の再婚相手の親族と分割割合を決めなければならないという場合ではトラブルは起こりやすいです。

お互い会ったことのない者同士でお金についての決着をつけなければならないということで、スムーズに進めることは難しいでしょう。

また、例えば私生活の乱れなどで実父が家族に対して迷惑をかけていたので、よく思っていない、そのため相続したくないという方もいるのではないでしょうか。

あなたの正直な感情にしたがって相続放棄をするか否かの判断をしていただければと思います。

相続放棄には期間の制限があります

相続放棄の手続きは、相続が開始したのを知った時から3ヶ月以内におこなわなければなりません

「亡くなってから3ヶ月以内」ではなく、「亡くなったことを知ってから3ヶ月以内」です。

この期間を経過したのちに、実父の遺産の中身が負債だらけだと知っては、ご相談者も負債を被ってしまいます。

実父が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内と、短い時間しか判断の猶予はありません。

この間に、遺産の中身の調査も済まし、その上で判断をおこなわなければならないので、相続開始を知ってからは迅速に行動する必要があります

どうしても3カ月以内に結論が出せない場合には、熟慮期間の伸長といって、相続放棄のできる期間を伸ばすことができます。3ヶ月を経過する前に、家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立をすることが必要となります。

 

離婚した実父の遺産の相続分の決め方

相続放棄をせずに実父の遺産を相続するとなった場合、相続人全員の相続分を決めなければなりません。

相続分を決める上でも確認していただきたいことがあるので紹介します。

離婚した実父が遺言書を遺したどうか

まず確認すべきことは、「亡くなった実父が遺言書を遺しているかどうか」ということです。

遺言書を残している場合と、遺言書を残さなかった場合では、相続分の決め方が異なるからです。

まずは、実父が遺言書を残しているのかどうか、実父側の親族に聞いて確認を取りましょう。

もし亡くなった実父が遺言書を遺していなかった場合

相続では「法定相続分」が決まっており、亡くなった被相続人との関係により、相続できる遺産の割合を規定しています。

今回の相談の事例において、各人の相続分がどのぐらいなのか以下の表をご覧になってください。

再婚相手(現在の妻) 2分の1
再婚相手との子供 4分の1
元結婚相手との子供(ご相談者) 4分の1
元結婚相手(前妻) なし

この法定相続分をもとに、遺産分割をおこないます

また、この法定相続分をあくまで参考として用い、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で変動させることも可能です。

もし亡くなった実父が遺言書を遺していた場合

もし遺言書を遺していれば、その遺言書の内容通りに遺産分割をおこないます

しかし、ここでまた確認すべきことがあります。

それは「その遺言書の内容がご相談者に認められた遺留分を侵害していないか」ということです。

遺留分とは「相続人に認められた最低限度の相続割合」のことを言います。

この遺留分は、亡くなった方の子供に認められており、相続権と同様に、両親が離婚していてもその子供に対して認められています。

遺留分について詳しく知りたい方は、「遺産相続でトラブルが起きやすい「遺留分(いりゅうぶん)」とは?」の記事をお読みください。

もし万が一、実父が遺した遺言書の内容が、この遺留分を下回っていた場合、侵害している分を請求(遺留分減殺請求)することができます。

今回のような事例の場合、現在の家族を大事にしたいという気持ちから、遺言書の中で指定した元結婚相手の親族に対しての相続分がかなり少ない、または全く無いというケースが多いです。

つまり、遺留分を下回っている可能性が高いです。

遺留分は、本人が権利を主張し、遺留分減殺請求をしなければ、侵害分を受けることができませんので、遺言の内容が遺留分を下回っていると分かれば、遺留分減殺請求をおこないましょう。

遺留分減殺請求の進め方については、「どれぐらい大変?遺留分減殺請求の方法とかかる期間や費用」で紹介しています。

また、遺言の内容が遺留分を下回っているのかどうか分からないという場合には、「遺留分の割合と計算方法|あなたは遺留分を侵害されているでしょうか?」で確認してみてください。

以上のように、遺言書があるかないかで遺産の分割の方法は変わります。

まずは有無を確認して、あった場合・なかった場合の分割方法に応じることになります。

 

元結婚相手との相続の問題は弁護士に相談することをおすすめします

今回の記事では、事例を用いて離婚した両親に関する遺産分割について説明しました。

このような事例と同じ立場に置かれている人は多いかと思います。ひょっとしたらあなたもその一人かもしれません。

そして、このような方におすすめしているのは弁護士に相談するということです。

ご想像していただけければ分かるかと思いますが、元結婚相手の親族との遺産分割に関する話し合いはなかなかスムーズにはいきません

離婚した実父(実母)が亡くなったと知ったら、まずは弁護士に相談し、どのような対応を取るべきか聞いてみるのがいいかと思います。

また、弁護士に遺産分割協議の代理を依頼することも可能です。実父(実母)の再婚相手の親族に会いたいとはあまり思いませんよね?

代理を依頼することで、相手方と会わずに解決に向かうことができるというメリットもあります。

できる限り、迅速にかつ相手に会わずに解決したいとあなたが思うのであれば、弁護士に依頼することは大変有益です。

弁護士はきっとあなたにとって力となってくれるはずです。

 

あなたにおすすめの記事

 

「遺留分減殺請求は弁護士に依頼すべき」このように言われている理由は「遺留分減殺請求を弁護士に相談した方が良い”7つ”の理由」を読めばわかります。


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