遺留分

遺留分減殺請求で弁護士に依頼するといくらかかる?弁護士費用の種類と相場

相続の問題の中でもよくあるのが遺留分減殺請求に関する問題です。

遺留分減殺請求は、法律の専門家でもない人にとって、非常に難しく一人で解決に導くとなると、大変な労力がかかってきます。

このことから、一般的に遺留分減殺請求をする場合は、弁護士に依頼した方がよいと言われています。

その理由を知りたい方は、「遺留分減殺請求を弁護士に相談した方が良い”7つ”の理由」をお読みください。

そこで、あなたが気になるのは、もし弁護士に遺留分減殺請求を相談・依頼するとして、弁護士費用はいくらかかるのかということかと思います。

今回の記事では、遺留分減殺請求を弁護士に相談する際、あるいは依頼する際にどのような種類の費用がどの程度かかるのか、また支払い方法や注意点についてご紹介します。

基準を知れば、遺留分減殺請求の弁護士費用の予測がつきます

実は、弁護士費用には目安となる金額が存在し、その目安を元に弁護士費用の予測ができます。これは遺留分減殺請求においても同様です。

その目安とは、日弁連の旧報酬規程(以下「規定」)です。

この基準を知ることで、遺留分減殺請求に関して弁護士に相談・依頼した場合にいくらぐらいの費用がかかるのか予測がつきます

 

遺留分減殺請求を相談・依頼する際の弁護士費用の種類とその相場とは?

遺留分減殺請求において、弁護士の力を借りる際にかかる費用には、以下の項目があります。

全ての人にこれら全ての項目の費用がかかるわけではありませんが、どのような費用が含まれるのか確認しておきましょう。

① 相談料

弁護士に相談する際にかかる費用です。

現在遺留分減殺請求で抱えている問題や悩みを弁護士に伝え、どうすれば有利に遺留分減殺請求を進められるかというアドバイスを得られます

相談の段階では、相談料以外の費用はかかりません。

相談後に依頼すれば、相談料は無料になる場合がほとんどです。

◉日弁連の規定:

30分ごとに5000円から25000円、または初回無料

30分から1時間の相談が一般的です。

② 内容証明郵便による遺留分減殺請求意思表示代理費用

遺留分減殺請求には、相手方に対する「遺留分減殺請求をしますよ」という意思表示が必須です。

内容証明郵便である必要はありませんが、一般的には内容証明郵便でおこなうべきとされています。この意思表示を弁護士に依頼することができます。

◉日弁連の規定:

30,000円〜50,000円

発送事務手数料が発生する際には、2,000円程度別途かかります。

③ 着手金

着手金は弁護士が案件に着手するために必要となる費用です。結果の成功・不成功に関わらず支払うものです。

原則、弁護士との委任契約を結びこの着手金が支払われてから弁護士は案件に着手します。

仮に弁護士に依頼してこちらの主張が全く認められなくても、この着手金は戻ってこないのが通常です。また、報酬金は、この着手金とは別に発生します。

◉日弁連の規定:

事件の経済的利益の額 着手金
300万円以下 経済的利益の8%
300万円を超え3000万円以下 経済的利益の5%+9万円
3000万円を超え3億円以下 経済的利益の3%+69万円
3億円を超える 経済的利益の2%+369万円

④ 報酬金

事件終了後に弁護士に支払う費用です。

弁護士が介入することにより生じた経済的利益の額に応じて決定されます。

遺留分減殺請求の場合、相手といくらで決着したかによって報酬金の額が異なります。経済的利益が発生した場合は、着手金とは別に支払うのが報酬金となります。

多くの弁護士事務所では、日弁連の規定をベースに弁護士費用を規定しています。

事件後に弁護士に支払う費用です。実際に財産を取得できた際のみ支払います。こちらも相場が決まっています。

◉日弁連の規定:

事件の経済利益の額 着手金
300万円以下 経済的利益の16%
300万円を超え3000万円以下 経済的利益の10%+18万円
3000万円を超え3億円以下 経済的利益の6%+138万円
3億円を超える 経済的利益の4%+738万円

⑤ 日当

弁護士を拘束する時間に応じて支払額が決定するのが日当です。

例えば、相手方に交渉に行く、裁判所に出頭するなどで、事務所を離れて事案に対応する際に発生します。着手金の中に一定の日当を含めている弁護士事務所もあります。

◉日弁連の規定:

半日(往復2時間超え4時間以内) 3万円以上5万円以下
1日(往復4時間超え) 5万円以上10万円以下

その他、実費や手数料などがかかります。

 

有料の法律相談と初回無料の法律相談はどちらがいい?

先述した通り、弁護士事務所によっては、相談料が初回無料の事務所と、初回から有料の事務所があります。

そこで、多くの方が悩むのが有料の法律相談と初回無料の法律相談、どちらの法律事務所を選ぶのがいいかということではないでしょうか。

結論、有料の法律相談でも初回無料の法律相談でも対応に明確な違いがあるというわけではありません

有料だから丁寧で、無料だからそうではないということはありません。

親身に対応してくれる法律事務所であれば、有料無料に関わらず、その事務所を選ぶべきだと思います。

無料での初回相談が可能なのは、弁護士事務所の収入のうち、相談料があまり多くの割合を占めないためです。依頼後の弁護士費用が収入の多くを占めるので、依頼に繋げるために初回無料相談を行う事務所が多くなってきています。

逆に、相談者側にとっても、相談料よりも、実は着手金や報酬金の方が大きいし、事件で得られる遺産等の方が大きいです。

相談料が無料でも、事件の解決がうまく行かなければその減収分は法律相談料どころではないはずです。

あなたが本当に良い弁護士事務所を探しているのであれば、法律相談料が有料か無料かで選ぶよりも、どの事務所がしっかりあなたの話を聞いて親身に寄り添ってくれそうかどうかで選ぶべきです。

 

遺留分減殺請求で着手金を何度も支払わなければならない可能性がある?

着手金を1度払えば事件解決まで一通り弁護士がおこなってくれるというものではありません。

それは、2回3回と着手金を支払う場合もあるからです。

着手金は、あくまで着手する際に予想される業務に対して支払われる費用です。

そのため、解決に導くために新たな手続きや業務が必要となると、そのぶん新たに費用が必要となるのです。

遺留分減殺請求の解決までの流れについてですが、一般的に、意思表示→話し合い→調停→訴訟となっています。

交渉、調停、訴訟はそれぞれ別ものという扱いがなされ、移行するたびに着手金を支払うというのが一般的です。

さらに、訴訟については「一審」、それでも解決しない場合には「控訴審」があります。この場合、一審と控訴審で着手金をそれぞれ支払わなければならないことがほとんどです。

同じ事案でも何度か着手金を支払うことになる可能性があることは知っておきましょう。

ただし、移行の際の着手金に関しては、1度目に支払ったものから減額されるという場合もあります。例えば、一審から控訴審に移る際に着手金を減額するということです。

また、交渉・調停・訴訟を一連の手続きと考え、追加の着手金を取らない事務所もあります

弁護士に依頼する際には、着手金の額や調停や訴訟に移行した際の着手金の額も弁護士に確認してください。

 

遺留分減殺請求の弁護士費用の支払い方法にはどのようなものがある?

支払い項目ごとに支払う方法が異なるので、その点もあらかじめ押さえておきましょう。

① 相談料

相談料は相談終了後に、その場で現金で支払うのが通常です。

② 内容証明郵便による遺留分減殺請求意思表示代理費用

こちらも依頼の段階で、その場で現金で支払うのが通常です。

③ 着手金

着手金は委任契約後に振り込むか、送金するのが通常です。

委任契約を結んだのち、契約書に従って着手金を支払います。依頼の際に直接現金を持参する必要はありません。

④ 報酬金

相手方から金員を受け取れる場合、通常弁護士の銀行口座を指定しそこに一旦振り込まれます。そこから報酬金が差し引かれた金額が依頼者の手元に渡ります。

⑤ 日当

日当は出張があったその都度ごとに支払うことが多いかと思います。弁護士や事務所ごとに異なる可能性があるので相談依頼する際に確認しましょう。



どの弁護士費用においても支払い時期や支払い方法が異なる場合があります。

相談や依頼をする前に直接弁護士事務所に尋ねて確認を取ってくださいね。

 

遺留分減殺請求の弁護士費用が支払えない場合は?

この記事を読んでみて感じた方もいるかもしれませんが、弁護士費用はそう安くありません。なかには、生活面を考えると、これだけの金額を支払うのが難しいという方もいるでしょう。

しかし、遺留分減殺請求には時効が存在します。抱えている問題を今解決しなければならないというものがほとんどです。

万が一、いま現在手持ちのお金が多くなく着手金が支払えないという状況の方は以下のような対応を取ることも考えてみてください

① 分割払い・後払い

法律事務所によっては、分割での支払いに対応している事務所があります。

依頼直後に着手金の一部を支払い、その後業務遂行の間、毎月分割で残りの金額を支払うというものです。

また、遺留分減殺請求で遺産の取得が見込まれる場合は、着手金の支払いも遺産の取得時に支払えばよいという後払いに応じてくれる法律事務所もあります

遺産の取得が見込まれるのに弁護士を依頼するまとまったお金はないという場合には、弁護士に確認してみましょう。

ただ、これは弁護士や事務所によって異なりますし、事案によっても異なりますので、確認する必要があります。

② 民事法律扶助

これは、経済的余裕のない方を対象とした司法支援制度です。

そのうちの一つに、弁護士費用の立て替えがあります。立て替えなので、毎月分割で返済しなければならないですが、依頼時にまとまったお金がない場合、利用するのも一つの手かと思います。

ただし、これを利用するには、収入要件や勝訴見込みなど一定の条件を満たさなければなりません。

 

おわりに

今回の記事では、遺留分減殺請求で弁護士に相談・依頼した際の弁護士費用の種類とその相場についてご紹介しました。

一口に遺留分減殺請求と言っても案件には様々なパターンがあり、さらに弁護士事務所ごとに設定の仕方が異なるため、注意が必要です。

余計に多くのお金がかかってしまったということを防ぐためにも、気になった点はあらかじめ弁護士事務所に尋ねましょう。

実際に支払う前に見積もりを出してもらうことも重要です。

費用についてきちんと説明してくれるのも良い事務所、良い弁護士の条件となります。

ただし、遺留分減殺請求の問題は複雑で、解決までに長期に渡って争うこともあるので、弁護士費用という面以上に、相続に関する専門性や弁護士との相性を重視して選んでいただければと思います。

 

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